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小山田いく先生の珠玉の名作,「すくらっぷブック」でわが青春がよみがえる。あの三頭身キャラにまた会いたい

 かつて週刊少年チャンピオンに連載されていた小山田いく先生の名作「すくらっぷブック」。

長野県の小諸市に住む中学生の男子・女子の2年生から3年生までを描いた物語です。

2年間の連載で2年間の物語、そう、ほぼリアルタイムで彼らの恋・友情・部活・勉強・進路などのエピソードが展開されました。

そして、僕は彼らと同学年、「タメ歳」でした。

 小山田先生はこの連載の前に、チャンピオン誌上で「12月の唯」「春雨みらーじゅ」「三角定規+1」という、やはり中学生達を主人公にした別の読み切り作品を発表していたのですが、これらの登場人物も総出でこの「すくらっぷブック」には主役級・レギュラー級で出演していました。

一応、「柏木晴」、通称「晴ボン」と呼ばれる主人公と目される少年はいましたが、彼だけが中心ではなく、言ってみれば中学生たち一人一人が、またそれを見守る先生や家族たち大人も含めた人々皆が主役として描かれていたのです。

「すくらっぷブック」とはそういう思いも込められたタイトルだったのだと思います。

 初めてこの物語の事を聞いた方は「堅い漫画?」という印象を持たれたかもしれません。いやいや、そうじゃないんです。

キャラは皆三頭身、中には二等親。画風はギャグマンガと言っていいでしょう。けんかする時の必殺技がズボンを脱がさずパンツを抜き取るという意味不明さです。

それに色々な小技が効いている。例えば野次馬の中になぜか(多分本当に深い意味はなく)ガンダムがいたり(当時はファーストガンダムをリアルタイムで放映していた頃で、視聴率の低さに打ち切りの憂き目にあっていた)、登場人物が鼻歌を歌うのがローマ字で記載されるのですがそれがさだまさしさんの歌の歌詞だったり、今なら著作権でちょっとまずいんじゃ?と思うような面白いしかけが随所にありました。

美術、音楽、アニメ、神話、歴史、文学、おたく文化、エンターテイメントを総動員しての楽しい漫画です。

 ちなみにちょうど同じころ、月刊少年チャンピオンで「星のローカス」という作品も小山田先生は連載されていました。

こちらは高校生が主人公の一話一話を神話になぞらえたエピソードからなる成長譚。

高校生なのにタバコ吸うわ、酒飲むわ、今ではメジャー誌掲載は難しいかも。

 で、話は「すくらっぷブック」に戻って。

彼らは文化祭で映画を撮ることになります。脚本を担当することになった「晴ボン」は、仲間と共に悩み苦しんで物語を作り上げていきます。

恐らく、小山田先生の創作に対する想いが込められた神回ともいえるエピソードです。

影響されやすい僕たちは、やはり文化祭で8ミリ映画(ビデオはあまり主流ではなかった)を製作しました。今ではもう残っていませんが。

 実家に戻ればどこかに単行本が全巻置いてあるかもしれませんが探すこともできずいたところ、最近電子書籍化されているのを見つけ大人買いしました。

ページをめくる・・・スワイプする度に晴ボンたちの、そして僕たち自身の青春がよみがえってきます。そう言えば、物語の舞台の小諸に初めての一人旅をしたな、今で言う聖地巡礼か。

 中学生の娘(ちょうど彼らと同じ世代)に見せたら一言「昭和だね」。

三頭身、デカ目のキャラは21世紀生まれの子供たちには古文書に見えるようです(笑)。

(注)小山田いく先生は2016年に亡くなっていたことをこの記事を書く際の情報収集の段で知りました。ご冥福をお祈ります。