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漫画読んだら1つ感想文書くのがモットー

北方謙三の水滸伝はとても長いですが長さを感じさせない、読後感の良い北方ワールドを楽しめる作品です。

タイトルは知っているけど詳しいことは知らないという人が多い「水滸伝」。原本を読む能力はもちろんないので、日本人作家に頼るしかありませんのでいろいろな方の水滸伝を読んでみました。日本人作家による同じ中国の三国志は百花繚乱、玉石混合ですが、意外と水滸伝を書いている人は少ないのです。

吉川英治や柴錬三郎の水滸伝が有名ですが、どちらも未完です。残念ながらどちらもいまひとつでした。杉本苑子の悲華水滸伝は長い水滸伝をよくまとめているのでしょうが、ダイジェスト感があり、陳舜臣の水滸伝は一巻なのでとてもおおまかな感じでした。津本陽は途中でやめてしまったみたいですし。

三国志が終わった後に、小説すばるで水滸伝を連載し始めました。北方はハードボイルドや推理小説を書いていたころから気が向いたら読むぐらいでファンではありませんでした、南北朝を舞台にした作品・武門の王から書き始めた歴史小説は波長があったのか面白くて、それ以来歴史小説は必ず読むようになりました。

三国志もそれなりに面白くて、その北方が水滸伝を書き始めたので、水滸伝をどう料理するのか楽しみのような不安なような気持ちでした。三国志は約2年かけて13巻です。水滸伝は月刊誌に連載されたので、果たして最後まで続くのかと思っていました。なにしろ原作は膨大ですし、日本では未完が多いですから。水滸伝を読みたさに毎月小説すばるを買っていました。読み続けていくうちに、これは水滸伝といっても原作とは全く別のものだというのがわかってきました。先に出版されていた楊家将ともつながりがあり北方ワールドになっていきます。中国史の知識がなくても楽しめますし、とても多くの登場人物がでできますが、それぞれのキャラが巧みに個性が際立ってそれそれ魅力溢れていますので、読む人それぞれに贔屓のキャラが少なくとも一人はできるはずです。独自の解釈をしているので、原作をよく知っている人は違和感を感じるかもしれませんが、伝奇小説的要素はありません。まさか、経済力の話が水滸伝にでてくるとは思いもしませんでしたが、とにかく理屈抜きで楽しめます。読後感も気持ちの良いものです。

毎回わくわくして読み続けました。まさか、5年以上も続くとは思いませんでしたし、まだそれから続編が続くとは思いませんでした。長くなったのでどうしても、記憶が薄れるのであれこの人いつでてきたっけということになって単行本も買いました。単行本としてまとまったものを読むとまた違った味わいがあります。

続編として楊令伝、岳飛伝がありますが、こちらは好みがわかれるのではないでしょうか。特に岳飛はよく知られた岳飛とはまったく違ったオリジナルになっています。

三部作全部もいいですが、水滸伝だけでも全19巻あるので長い時間を楽しむことができる作品です。北方ワールドが堪能できる三部作です。